医療関係者の皆様へ -脳血管リハビリテーション科-
診療実績
診療科別依頼件数 
平成18年度から平成22年度までの診療科別の理学療法・作業療法依頼件数の推移です。特に脳内科からの依頼件数は徐々に増加しています。
脳内科からリハ依頼のあった患者さんの
退院先(自宅・転院)の割合 
平成18年度から平成22年度までに脳内科から理学療法・作業療法依頼のあった患者さんの退院先のうち、自宅退院または転院の割合の推移です。自宅退院される患者さんよりもリハビリテーション継続を目的に転院される患者さんの方が多いのが特徴です。当センター近隣の回復期リハビリテーション病院との地域連携を円滑に行っています。
理学療法を行った症例の各年度における平均入院期間
-特に脳内科から依頼のあった症例について- 
平成18年度から平成22年度までに理学療法を行った患者さんの平均入院期間の推移です。入院期間は、年々短縮傾向にあります。
平成22年度 言語聴覚療法依頼内容(件数709件、患者実数671人) 
理学療法と同様、依頼科の8割が脳内科および脳外科で、脳血管障害急性期の患者さんを対象としています。
依頼件数は年々増加し、平成22年度は709件に達しました。内訳は失語症が210件、失語症以外の高次機能障害が131件、音声・構音障害が251件、嚥下障害が117件です。失語症と嚥下障害、失語症以外の高次機能障害と音声・構音障害と嚥下障害など、ひとりの患者さんに依頼内容がふたつ以上の場合も有るため、患者さんの実数は671人です。
失語症やそれ以外の高次脳機能障害は急性期の不安定な病態や心理面に配慮しながら、可能な限り定式的な検査を試み、回復期リハビリテーション病院への転院の必要性を検討し、必要に応じて、検査結果・訓練経過を転院先へ申し送ります。
嚥下障害は脳内科では、医師と看護師とで初期評価を行い、経過を診ていくシステムが確立されています。その一方で、心臓内科および心臓外科からの依頼はほぼ全例が嚥下障害で、重症心不全や術後の反回神経麻痺、長期臥床・廃用症候群などが原因となっています。
主な研究内容
「脳卒中患者の急性期病院退院時FIMの退院先別比較」
初発脳卒中患者を退院先別に自宅群、リハ病院群、療養型群の3群に分類し、年齢、入院期間、退院時FIMの点数を比較した。自宅群、リハ病院群、療養型群の順に高齢であった。入院期間は自宅群、リハ病院群、療養型の順に長期化していた。退院時FIMの中央値は自宅群、リハ病院群、療養型群の順に高値であった。

「Functional Independence Measureは脳卒中患者の日常生活動作評価における職種間の橋渡しツールとなりうるか?」
FIMは脳卒中患者の日常生活動作評価における職種間の橋渡しツールとなりうるかどうかをあきらかにする目的に、理学療法士(PT)、看護師(Ns)がそれぞれ別個に退院時に評価し、比較検討した。結果、総点数(R=0.92)、運動項目点数(R=0.93)、認知項目点数(R=0.78)のいずれもが正の相関をみとめたが、細項目の比較では職種間に差がみられる項目が存在した。

「Pusher現象出現予測に有用な臨床マーカーの検出」
Pusher現象出現を予測するために、pusher現象を呈する対象者のmidline shiftの有無、病巣側、意識障害の有無、脳出血については脳室穿破の有無、血腫量、減圧術の有無について調査を行った。このうち、midline shift、意識障害、減圧術施行の有無はpusher現象出現を予測する臨床マーカーとして有益な判断指標と考えられた。
調査・研究の取り組み
脳血管リハビリテーション科における依頼の約8割が脳内科および脳外科からの依頼です。よって、脳血管疾患が主たる対象疾患です。さらに当センターの特徴として、救急医療を担っていることより、急性発症による脳血管障害が大半(8-9割)を占めています。
理学療法部門では、急性期をキーワードとして、急性期におけるリハビリテーションの実情、有効性を明確にするため、転帰(退院先)、臨床病型を考慮することの有用性、急性期に出現する頻度の高いpusher現象の臨床像などについての調査・研究を行っています。さらに、リハビリテーション医療はチーム医療とも言われ、他職種が共同して関わることが重要とされています。このスタンスを構築するためにセラピストのみに限らず、医師主導により看護師とも共同して、リハビリテーションの意識改革、また、能力評価の共通ツールとしてFIM(Functional Independence Measure)を用い、その使用方法および有効活用方法について研究を行っています。これらの結果については、日本理学療法学術大会、近畿理学療法学術大会、大阪府理学療法学術大会、脳卒中学会総会などで発表しています。
言語聴覚療法部門では、急性期評価の意義、社会的予後などの研究及び高次脳機能障害の症例報告を行っています。これらの結果については、日本コミュニケーション障害学会、認知神経科学会などで発表しています。
循環器病研究開発費「新しい脳卒中医療の開拓と均てん化のためのシステム構築に関する研究」班(主任研究者:峰松一夫)の班員として、主にセラピストの視点から脳卒中リハビリテーションの実態調査などを行っています。
2007年以降の業績は、学会発表が22演題、執筆原稿が18編です。
【学会発表】(発表年順)
- 山本幸夫,尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,太田幸子,山内芳宣,峰松一夫:理学療法を実施した急性期脳卒中患者の入院期間および退院先の5年間の推移.第42回日本理学療法学術大会,朱鷺メッセ,新潟,2007年5月24-26日
- 太田幸子,尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,山本幸夫,山内芳宣,峰松一夫:急性期脳卒中患者の転院時の重症度と入院期間との関連.第42回日本理学療法学術大会,朱鷺メッセ,新潟,2007年5月24-26日
- 山内芳宣,尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,太田幸子,山本幸夫:急性期病院における各年の入院期間および動作が自立して自宅退院可能となった症例の割合について.第19回大阪府理学療法学術大会.大阪電気通信大学四條畷キャンパス,四條畷.2007年7月15日
- 福井教之,尾谷寛隆,碇山泰匡,太田幸子,山本幸夫,山内芳宣,峰松一夫:当センターにおける理学療法中止例の事象と急変時の初期対応.第19回大阪府理学療法学術大会.大阪電気通信大学四條畷キャンパス,四條畷.2007年7月15日
- 大畠明子,上田泉,峰松一夫:急性期脳卒中患者における高次脳機能障害の評価.第12回認知神経科学会.九州大学.福岡.2007年7月21-22日.
- 上田泉,大畠明子,峰松一夫:伝導失語発症後、右半球梗塞で語音認知障害を来たした中途失聴の一例.第12回認知神経科学会.九州大学.福岡.2007年7月21-22日.
- 尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,太田幸子,山本幸夫,山内芳宣,峰松一夫:視床病変によりpusher現象を呈した症例の病巣特徴.第43回日本理学療法学術大会.福岡国際会議場,福岡,2008年5月15-17日
- 大畠明子,上田泉:重症心不全・移植病棟入院患者へのSTの関わり.第34回日本コミュニケーション障害学会.大阪市中央公会堂.大阪.2008年5月31日-6月1日
- 山内芳宣,尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,太田幸子,山本幸夫,峰松一夫:脳卒中再発患者の自立度について-一側病変患者と両側病変患者との比較-.第20回大阪府理学療法学術大会.大阪国際会議場,大阪,2008年7月13日
- 太田幸子,尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,山本幸夫,山内芳宣,長束一行,峰松一夫:脳卒中患者の急性期病院退院時FIMの退院先別比較.第20回大阪府理学療法学術大会.大阪国際会議場,大阪,2008年7月13日
- 福井教之,安達裕一,小西治美,丸次敦子,楠木沙織,永田加代子,平尾仁衣奈,平野百合香,藤田有希代,後藤葉一:在宅運動療法指導の精度向上に向けて:脈拍数計を用いた運動強度指導の検討.第14回日本心臓リハビリテーション学会.大阪国際交流センター,大阪,2008年7月18-19日
- 尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,太田幸子,山本幸夫,山内芳宣,峰松一夫:視床病変によりpusher現象を呈した症例の病巣特徴.第5回日本理学療法士協会神経系理学療法研究部会学術集会.WTC(ワールド トレード センター),大阪,2008年12月6-7日
- 福井教之,尾谷寛隆,苅山有香,山田由紀子,前本くに子,中島隆宏,古賀政利,冨井康宏,長束一行,峰松一夫:Functional Independence Measureは脳卒中患者の日常生活動作評価における職種間の橋渡しツールとなりうるか?.第34回日本脳卒中学会総会.島根県民会館・サンラポーむらくも,島根,2009年3月20-22日
- 冨井康宏,古賀政利,中島隆宏,尾谷寛隆,峰松一夫:脳卒中急性期リハビリテーションに関する医療従事者の意識:アンケート結果から見えたこと.第34回日本脳卒中学会総会.島根県民会館・サンラポーむらくも,島根,2009年3月20-22日
- 畑中弥生,田苗恵美,神保彩子,松村美保子,前本くに子,尾谷寛隆,中島隆宏,冨井康宏,古賀政利,峰松一夫:回復期リハビリテーション病院への転院に関する急性期脳卒中患者・家族の意識調査.第34回日本脳卒中学会総会.島根県民会館・サンラポーむらくも,島根,2009年3月20-22日
- 尾谷寛隆:【スキルアップセッションⅠ】肢体不自由者の移乗方法,介助のポイント.第20回日本心エコー図学会学術集会.サンポートホール高松,香川,2009年4月23-25日
- 尾谷寛隆,平岡浩一,碇山泰匡,福井教之,太田幸子,山本幸夫,山内芳宣,峰松一夫:Pusher現象出現予測に有用な臨床マーカーの検出.第44回日本理学療法学術大会.東京国際フォーラム,東京,2009年5月28-30日
- 太田幸子,尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,山本幸夫,山内芳宣,冨井康宏,峰松一夫:急性期脳卒中患者の退院時Functional Independence Measureと脳卒中病型との関係.第45回日本理学療法学術大会.長良川国際会議場,岐阜,2010年5月27-29日
- 山本幸夫,尾谷寛隆,碇山泰匡,福井教之,太田幸子,山内芳宣,冨井康宏,峰松一夫:早期理学療法介入が急性期脳卒中患者の日常生活動作に及ぼす効果:Functional Independence Measureを用いた検討.第22回大阪府理学療法士学会.大阪国際会議場,大阪,2010年7月10日
- 谷岡真衣,大畠明子,豊田一則,峰松一夫:両側後頭葉出血により多彩な神経心理学的症状を呈した一例.第34回高次脳機能障害学会学術総会.大宮ソニックシティー,埼玉,2010年11月18-19日
- 山内芳宣,尾谷寛隆,冨井康宏,横田千晶,豊田一則,峰松一夫:脳卒中急性期リハビリテーションにおいて回復期リハビリテーション病棟へ転院する患者の障害像について~全国アンケート調査~.第36回日本脳卒中学会総会.京都国際会館,京都,2011年7月30日-8月1日
- 冨井康宏,横田千晶,山内芳宣,尾谷寛隆,峰松一夫:脳卒中急性期リハビリテーション提供の関連因子の検討:全国アンケート調査結果.第36回日本脳卒中学会総会.京都国際会館,京都,2011年7月30日-8月1日
【書籍・ジャーナル】
- 碇山泰匡,尾谷寛隆,峰松一夫:特集「脳卒中のセルフエクササイズ」:生活習慣病を合併した脳卒中患者におけるセルフエクササイズ.理学療法25:421-427,2008
- 尾谷寛隆:臨床実習サブノート 知っておきたい理学療法評価のポイント-急性期の脳血管障害患者を担当した時-.理学療法ジャーナル42:323-327,2008
- 尾谷寛隆,上原敏志,峰松一夫:わが国のStroke Unitにおける現状と課題.理学療法ジャーナル42:473-478,2008
- 尾谷寛隆,太田幸子,峰松一夫:運動障害に対する体性感覚的教示法の要点.理学療法26:1436-1441,2009
- 尾谷寛隆:脳血管障害の運動療法-早期.標準理学療法学 専門分野 運動療法学 各論 第3版.吉尾雅春(編),医学書院.116-132,2010
- 尾谷寛隆:急性期リハビリテーション.脳卒中レジデントマニュアル.峰松一夫監,中外医学社.219-227,2010
- 尾谷寛隆:回復期リハビリテーション.脳卒中レジデントマニュアル.峰松一夫監,中外医学社.276-281,2010
- 大畠明子:言語聴覚療法.脳卒中レジデントマニュアル,峰松一夫監,中外医学社.228-229,2010
- 尾谷寛隆:SCUにおけるリハビリテーション.SCUルールブック第2版.峰松一夫監,中外医学社.238-245,2010
- 大畠明子:SCUにおけるリハビリテーション.SCUルールブック第2版,峰松一夫監,中外医学社.246-249, 2010
- 碇山泰匡:クリティカルパスのみかた.DVDで学ぶ脳血管障害の理学療法テクニック.山口武典監,南江堂.25-26,2010
- 碇山泰匡:左中大脳動脈(心原性脳塞栓症)-多くは優位半球,右片麻痺-.DVDで学ぶ脳血管障害の理学療法テクニック.山口武典監,南江堂.89-108,2010
- 碇山泰匡:被殻出血.DVDで学ぶ脳血管障害の理学療法テクニック.山口武典監,南江堂.157-168,2010
- 碇山泰匡:小脳出血.DVDで学ぶ脳血管障害の理学療法テクニック.山口武典監,南江堂.186-200,2010
- 尾谷寛隆:前大脳動脈領域梗塞(アテローム血栓性脳梗塞).DVDで学ぶ脳血管障害の理学療法テクニック.山口武典監,南江堂.109-124,2010
- 尾谷寛隆:多発性脳梗塞(ラクナ梗塞).DVDで学ぶ脳血管障害の理学療法テクニック.山口武典監,南江堂.140-156,2010
- 尾谷寛隆:大阪府理学療法士会の進むべき道~for Next Generation~.大阪府理学療法士会誌 38:2-6,2010
- 福井教之,尾谷寛隆,冨井康宏,苅山有香,山田由紀子,古賀政利,長束一行,峰松一夫:Functional Independence Measureを用いた急性期脳卒中患者の退院先予測と職種間評価差の検討.循環器病研究の進歩ⅩⅩⅩⅠ:55-60,2010
最終更新日 2011年06月17日