国立循環器病研究センター病院

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診療科

医療関係者の皆様へ -脳神経外科-

1.部門の概略

脳神経外科は、脳・脊髄・末梢神経など神経系疾患の中で外科的治療の対象となる疾患を扱っている科です。われわれ脳神経外科はその中でも国民病とも言われる脳卒中医療を担い、脳血管内科との連携により困難な脳血管疾患の克服に日々努力しています。当科は直達手術・血管内治療・ガンマナイフ(定位放射線治療)のいずれをも最高水準で施行できる特徴を備えています。病態に応じた治療法の選択や組み合わせが可能であり、日本全国から紹介される治療困難な疾患に対して良好な治療成績をあげています。また脳外科専用の集中治療室(NCU)を完備しており、急性期症例を24時間対応で受け入れています。

主な対象は脳血管疾患ですが、微細な脳血管を扱うことで鍛えられた繊細な技術を応用することにより、良性脳腫瘍や脊髄疾患などにおいても良好な成績を達成しています。

また、脳卒中外科のリーディングホスピタルとして次代の脳神経外科のリーダーを育てることも、私達の大切な使命です。国循脳外科は、我が国に多くの脳血管障害の外科治療専門家を輩出し、その類稀なる臨床教育と治療困難な疾患へのあくなき挑戦は高い評価をうけてきました。
われわれのミッションは、将来のリーダーとなるAcademic neurosurgeonを育てることです。他科や研究所との共同研究、他施設臨床研究を通して、新しい外科治療を確立し、治療困難な疾患に苦しむ患者の幸福に還元することこそがわれわれの責務です。

また、全国の脳神経外科医を対象に脳血管外科フォーラム(年2回)、脳血管外科治療セミナー(年2回)、脳血管外科ビデオカンファレンス(年2回)を開催、我が国の脳血管障害の治療技術の教育にも力を注いでいます。(http://cvdlive.igaku-gakkai.jp/

2011年開催 脳血管外科フォーラム・ウィンター2011、第14回脳血管外科治療セミナー、第4回脳血管外科ビデオカンファレンスの写真
2011年開催 脳血管外科フォーラム・ウィンター2011、第14回脳血管外科治療セミナー、第4回脳血管外科ビデオカンファレンス

第14回脳血管外科治療セミナー血管吻合ハンズオンの様子の写真
第14回脳血管外科治療セミナー血管吻合ハンズオンの様子

2.対象とする疾患一覧

  • 脳卒中一般(くも膜下出血・脳出血・脳梗塞)
  • 脳動脈瘤(未破裂・破裂)
  • 脳動静脈奇形
  • 硬膜動静脈瘻
  • 内頸動脈狭窄症
  • 頭蓋内動脈狭窄症
  • もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)
  • 脳腫瘍(転移性脳腫瘍、髄膜腫、前庭神経鞘腫、神経膠腫等)
  • 脊椎疾患(脊髄動静脈奇形、脊髄腫瘍、変性疾患等)
  • 機能性疾患(顔面けいれん、三叉神経痛)

3.主な治療法一覧

外科的治療(顕微鏡下手術)

  • 脳動脈瘤クリッピング術、トラッピング術
  • 頸動脈血栓内膜剥離術
  • 脳血管バイパス術
  • 脳動静脈奇形摘出術
  • 腫瘍摘出術
  • 神経血管減圧術

脳血管内治療

  • 脳動脈瘤コイル塞栓術
  • 頸動脈ステント留置術
  • 硬膜動静脈瘻塞栓術
  • 脳動静脈奇形塞栓術

ガンマナイフ(定位放射線)治療

  • 脳腫瘍(転移性脳腫瘍・髄膜腫・前庭神経鞘腫・神経膠腫)
  • 脳動静脈奇形
  • 三叉神経痛

4.主な治療法【図解】

未破裂前交通動脈瘤クリッピング術

未破裂中大脳動脈瘤手術の顕微鏡写真です。

写真1
左側がクリップをかける前の顕微鏡写真です。脳血管にできた瘤(脳動脈瘤)が認められます。
右側が蛍光色素を静脈注射した時の顕微鏡写真です。正常血管と動脈瘤が白色に光って見られます。

写真2
左側が動脈瘤の根本(頚部)にクリップをかけた顕微鏡写真です。
右側が蛍光色素を静脈注射した時の顕微鏡写真です。正常血管は白色に光っていますが、動脈瘤は光っていません。動脈瘤への血流が遮断されたことがわかります。

頚動脈ステント留置術(血管内治療)

頚動脈ステント留置術(血管内治療)の写真
頚部の内頚動脈の狭窄に対してステントという金属の筒をいれた時の血管撮影の写真です。
細かった部分(丸印)が拡張しているのがわかります。

脳動脈瘤コイル塞栓術(血管内治療)

脳動脈瘤コイル塞栓術(血管内治療)の写真
左側が未破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術の血管撮影の写真です。脳底動脈の先端部分に動脈瘤(→)が認められます。そこに通常の検査用のカテーテルよりかさらに細いマイクロカテーテルの動脈瘤の先端に慎重に挿入します。そのマイクロカテーテルを通してプラチナコイルを動脈瘤内に詰めていきます。
右側の2枚の写真が動脈瘤内にコイル(→)を詰めた後の写真です。動脈瘤内に造影剤が入っていないことがわかります。

液体塞栓物質を用いた脳動静脈奇形の術前塞栓術

手術困難な脳動静脈奇形(脳内の血管の塊)に対して、我々は脳血管内治療での術前塞栓術(手術で処理しにくい血管を前もって詰めておく)と開頭摘出術、もしくはガンマナイフの複合治療を行ってきました。最近はOnyxという液体塞栓物質も使用できるようになりました。

  • (1)脳動静脈奇形の写真(術前)。橙色円内と白円内の2箇所に奇形を認めるが、橙色円内の奇形を血管内治療+摘出術の組み合わせで治療することとしました。
  • (2a)塞栓術後の写真。橙色円内の奇形の映り具合がかなり減少しています。
  • (2b)塞栓術後の写真。橙色円内の黒い線が血管内に詰めたOnyxです。
  • (3)塞栓術の2日後に奇形の摘出術を行い、奇形は完全に摘出されました。白色円内の奇形には後日ガンマナイフが行われ、経過観察中です。

液体塞栓物質を用いた脳動静脈奇形の術前塞栓術の写真

このように当科では脳動静脈奇形に対して開頭摘出術、塞栓術、ガンマナイフの各治療法の設備と治療医を有しており、脳動静脈奇形の複合治療も多数行っております。

ハイブリッド手術室

国立循環器病研究センター(NCVC)では、2011年1月より国内初の本格的ハイブリッド手術室(Hybrid OR)を稼働しています。ハイブリッド手術とは、その名の通り、全く治療概念の異なる「開頭手術」と「血管内治療」をコラボレーションさせた治療法で、困難な病変に対する安全かつ確実な治療には不可欠と考えられていました。従来の独立した手術室・血管撮影室では種々の制限があり実現が困難でしたが、これを可能にするのがHybrid ORで、手術室・血管撮影室の融合により次世代脳神経外科手術の試金石となっています。NCVCでは稼働より5ヶ月で8例の患者さん:具体的には、一般的な血管内治療では病変への到達に問題がある症例や、開頭手術のみでは病変の特定が困難あるいは強い侵襲が加わる症例で使用し、いずれも良好な結果を得ています。その他、心臓・大動脈疾患でも使用されており、今後、困難な病変に対する治療のみならず、安全・確実な治療において威力を発揮するものと期待されます。

ハイブリッド手術室の写真

ガンマナイフ治療

当院では2002年4月からガンマナイフが稼動しており、これまでに多くの患者さんを治療してきました。2009年2月よりmodel 4Cにバージョンアップし、治療時間も大幅に短縮しました。

ガンマナイフ治療の写真

5.スタッフ紹介

部長・医長を含め、約19名の脳外科医が全国から集まり、脳卒中診療をはじめ、脳外科疾患の治療を担っています。診療のみならず、研究においてもチーム一丸となって困難な脳血管疾患の克服に挑んでいます。

氏名 職名 専門医資格 専門領域
飯原 弘二 部長 日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会認定医
日本脳神経血管内治療学会専門医
脳血管障害の外科的治療・
血管内治療、脳神経外科一般
中嶌 教夫 医長 日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会認定医
日本脳神経血管内治療学会専門医
脳血管障害の外科的治療・
血管内治療、脳神経外科一般
佐藤 徹 医長 日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会認定医
日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医
脳血管障害の血管内治療、
脳神経外科一般
片岡 大治 医長 日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会認定医
日本神経内視鏡学会技術認定医
脳血管障害の外科的治療
脳神経外科一般
神経内視鏡治療
森 久恵 医長 日本脳神経外科学会専門医 定位放射線(ガンマナイフ)治療、
脳神経外科一般
松重 俊憲 医師 日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
脳血管障害の外科的治療・
血管内治療、脳神経外科一般
伊藤 要 医師 日本脳神経外科学会専門医 脳血管障害の外科的治療、
脳神経外科一般
福田 健治 医師 日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
脳血管障害の外科的治療、
脳神経外科一般、
血管内治療
賀来 泰之 医師 日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
脳血管障害の外科的治療、
脳神経外科一般
専門修練医:磯崎 誠、丸山 大輔、水橋 里弥、高田 茂樹、佐野徳隆、伊藤公一
レジデント:高崎 盛生、濱野 栄佳、中江 卓郎、山内 圭太

6.施設認定

  • 日本脳神経外科学会専門医訓練指定施設
  • 日本脳卒中学会専門医認定制度研修教育病院
  • 日本脳神経血管内治療学会認定研修施設

7.卒後研修

われわれは、脳外科疾患に対して、直達手術・血管内治療・定位放射線治療それぞれの立場からdiscussionを行い、単一の治療のみに固執することなく治療に当たっています。常に最善の治療を提供するため、スタッフにもレジデントにも同じ、高いレベルの臨床力が要求されます。

それぞれが第一線の脳神経外科医としての自覚を持ち、かつモチベーションを高く維持するために、日々の「知識」「技術」の研鑽は欠かせません。実技トレーニングができる環境も十分整っています。

  • 各種カンファレンスの開催
  • 実技トレーニング
    血管撮影シミュレーション装置によるステント留置術トレーニング
  • マイクロサージェリートレーニング
    Tube吻合、ラット吻合練習

卒後研修の写真

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